Living in Peaceこどもプロジェクトは、「すべての子どもが、自分の可能性を諦めなくてよい社会」の実現を目指しています。では、そうした社会を作るためには何が必要でしょうか。
私たちは、すべての子どもに「十分な育ちを保障する養育環境」が用意され、そのうえで「自らの可能性実現に向けた支援」が行われることが大切だと考えています。
ここでは、上記ふたつの視点から、私たちの取り組んでいる活動の概要と展望をご紹介します。
十分な育ちを保障する養育環境づくり
「すべての子どもが可能性を諦めなくてよい社会」を実現するためには、前提として子どもたちに、十分な育ちを保障する「養育環境」が用意されていなければなりません。
第一に想定される環境は「実の親(保護者)」です。
しかし、子どもの育ちを支える環境は、実親による「家庭」だけではありません。「代替養育」や「地域」、さらには「社会」といった環境もまた、子どもたちの育ちを支えるうえで欠かすことができないないものです。
それぞれについて見てみましょう。
「代替養育環境」とは、親以外の養育者が子どもを預かり育てる公的な仕組みのことです。さまざなニーズの子どもたちを支えるべく、短期の預かりから、一時保護、そして児童福祉施設や里親のもとでの生活(社会的養護)までを含みます。
「地域環境」とは、養育者との生活をすぐ外から支える社会資源のことです。保育園や学校、塾や遊び場、また商店街やコミュニティセンターなど、様々な年齢や立場の人たちが子どもや養育者と出会い、暮らしを支えています。
「社会環境」とは、日常を取り巻くさまざまな情報や社会意識のことです。その社会が、どのような常識や価値観を共有しているかに、子どもたちの育ちは大きく影響を受けます。
Living in Peaceこどもプロジェクトは、「児童福祉施設の建て替え支援」という代替養育環境の改善から事業をスタートさせ、上記養育環境の全体像を描くなかで、特定の視点や領域に縛られることなく、それぞれの環境において自分たちの強みを活かし、社会に必要な事業を展開してきました。
今後も、子どもの育ちを保障すべく、それぞれの環境領域において事業を拡大展開していく予定です。それぞれの事業については、各事業紹介ページをご覧ください。
可能性を諦めないためのキャリア支援
前述した「養育環境づくり」の次に必要となるのは、そうした養育環境を出た後まで見据えたキャリア面での支援です。
子ども時代に逆境経験した人は、自らの可能性を思い描き、その実現に向けて挑戦することが難しい状況や心理状態に置かれていることが少なくありません。これは社会的養護(代替養育)のもとに生活している子どもに、特に顕著な傾向です。
たとえば児童養護施設に入所している子どもは、18歳になると施設を退所しなければならず、また、実の親に頼れないケースが大半であるため、強制的に独り立ちを迫られる困難を抱えています。
逆境を経験した子どもたちが、そのような状況において、理想の未来を思い描き、そこに向けて行動するのは、あまりにも難しいことです。
実際にその結果は、低い進学率や高い退学率等に現れています(なお、18歳になる前に家庭復帰する子どももいますが、キャリア形成に必要なリソースに乏しく、チャレンジが難しいことには変わりありません)。
そこでLiving in Peaceは、こうした課題を解決するために「意欲の醸成」「知識・スキル獲得」「リソース獲得」という3つの視点から、社会的養護下の子どもたちを対象としたキャリア支援活動を行っています。
それぞれについて見てみましょう。
「意欲の醸成」とは、自身の将来を考え、展望を描き、実行していく意欲を高め、維持できるようにするための支援を指します。これは、特に虐待を受けた経験のある子どもなどは、将来に明るい展望を持ちづらい傾向があると言われているためです。
「知識・スキル獲得」とは職業の選択肢やロールモデル、非認知能力、強み・価値観などの自己理解、日常的なお金の管理をはじめとした金融リテラシー等、自立やキャリア形成に必要なもの全般を得るための支援です。
社会的養護下の子どもたちは、こうした知識・スキルを得る機会を得づらい環境にあります。そもそも上記のように意欲を持つことができない状態では、子ども自身がこれらの知識・スキルを得ることに対する目的意識や動機づけができないという負の循環に陥ってしまうのです。
「リソース獲得」とは、子ども達がチャレンジするための外部リソースを獲得できるよう支援することです。リソースは他者とのつながり(単に人脈ということではなく、頼れる大人など幅広い意味を指す)やお金などを指します。
Living in Peaceこどもプロジェクトでは、これらの視点から、子どもが仕事やキャリアについて学ぶとともにチャレンジできる力を育むキャリアプログラムや、お金との関わりを学ぶお金の教育プログラムの企画・実施、そして高校卒業後の進学をサポートする奨学金事業を行っています。それぞれの詳細は、各事業の紹介ページをご覧ください。