Living in peaceは「社会的養護下の子どもが自立に対する前向きな意欲を持ち、行動できる状態」というゴールを達成するために、児童養護施設に暮らす中高生を対象とした、自立支援・キャリアセッション事業を行っています。
就労にまつわる課題
児童養護施設で暮らす子ども達の多くは、高校卒業と同時に施設を退所しなければなりません。
近年では奨学金制度の拡充により、少しずつ進学率が上がってきています。しかし全高卒者と比較をすると、進学する子どもの割合はまだまだ低いのが実情です。
そのため、この時点で多くの子どもたちは就職を選択することになります。
しかし施設の子どもたちは、将来の進路をより早期に固める必要があるにも関わらず、施設職員以外の大人と接する機会が少なく、世の中の職業やキャリアパス、また職業観を知る機会が限られています。十分な支援や知識がない状態で、就職先などの選択をしなければならないのです。
また、困難な家庭環境下で育ったことにより心に傷を抱え、将来に明るい展望を持てない子、粘り強さや人間関係構築力といった社会に出てから重要視される非認知能力の面で困難を抱えている子も少なくありません。
そうした問題の結果として、就労後に生活が不安定になりがちであり、施設出身者は貧困状態に陥りやすいという現実があるのです。
キャリアプログラム「おしごとリップ」
そこで私たちLiving in Peaceは、関東2か所・関西1か所の児童養護施設で生活する子どもたちを対象に、将来の選択肢を広げ、インケアのうちから時間をかけて自立に対する前向きな意欲を育むことを目的とした通年のキャリアプログラム「おしごとリップ」を実施しています。
プログラムでは、世の中に存在する職業を7つの業界に分類し、年間を通して子どもたちに様々な業種に触れてもらうセッションを実施しています。
各セッションでは各業界を代表する職業の講師をお招きし、仕事内容や自身のキャリアについて語っていただくほか、ワークを通した職業体験も実施。時には子どもたちと面談を実施し、個別の興味・関心に合わせた社会見学を調整したり同行するケースもあります。
プログラム参加者の声
参加した中高生、自立支援コーディネーター、中高生の日常のケアをしているケアワーカーからは下記のような声をいただいています。
プログラムに参加した中高生 ・職業選択の幅が広がり、仕事への視野や関心、世界観が広がった ・興味の幅が広がり、積極性や自発性が増した ・他者との接し方を学び、関わる機会が増えた ・LIPメンバーに話し相手になってもらえることが嬉しい
自立支援コーディネーター・ケアワーカー ・「プログラミングの仕事について話が聞きたい」等の具体的な要望が出てくるようになり、実際にその職に就いている人に話を聞く子どもが出てきた ・人前で話すことができなかった子が発表できるようになり、驚いている ・普段職員には話さないことを、LIPメンバーには話していることに驚いた。自分の気持ちを吐き出せる場所があることを、非常にポジティブに捉えている
プログラムに取り組む仲間を募集しています!
2021年には、より多くの子どもたちにプログラムを届けていくために、「おしごとリップ」のマニュアルを作成して公開いたしました。
ご関心をお持ちいただけた方や団体様は、下記リンクよりぜひ詳細をご覧いただけますと幸いです。