Cultural Diversity Indexとは?
難民等を含む移住背景のある人々も働きやすい職場環境整備を目的とした企業を評価する指標です。自社の移住背景のある人材の包摂状況、他社と比較したときの自社の立ち位置、自社の改善事項等の把握に役立てていただくことができます。評価結果は公表され、取り組み先進企業の取り組みを奨励していきます。
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「学生の就職活動経験と企業の採用に関する調査報告書」
東京大学、筑波大学、Living in Peaceは、日本における移民・難民第二世代の教育から就労への移行における課題について、移民・難民背景のある学生及び企業双方の視点から研究を行いました。
研究メンバーは、移民の子どもや若者の教育達成や社会参加、また難民の就労支援や日本語教育支援などに取り組む経験のなかで、移民・難民背景のある若者の教育から労働市場への移行がスムーズに起きていないのではないか、マジョリティである日本人とは異なる障壁や経験があるのではないかという思いを抱いてきました。
研究成果は2022年5月に「移民・難民学生のキャリア形成と共創する社会へ ―学生の就職活動経験と企業の採用に関する調査報告書―」としてとりまとめました。
研究の結果、学生と企業のそれぞれに次のような課題があることがわかりました。
【学生】
- 就職に関する情報不足
- 周囲の理解や支援の不足
- 多様な文化環境で育った強みを生かせない
【企業】
- 外国社員が定着しずらい
- 多言語化への対応が不足
- 採用において文化的多様性の視点が弱い
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Cultural Diversity Indexの策定
Living in Peaceは、学生の課題に対する解決策として、就労支援で実践を積み重ねています。
これに加えて、企業の課題に対する解決策として、「互いのノウハウを共有し讃え合う仕組みをつくる必要がある」と考え、文化的多様性を評価する指標づくりに取り組むこととしました。
企業が互いのノウハウを共有し讃え合う仕組みをつくるためには、多様なセクターが参加することが有益です。
そこで、Welcome Japan※の就労分科会において、大学・企業・NPOといった多様なセクターの人たちが共同で作業に取り組みました。
※Welcome Japanは、難民移民の多様な包摂の拡充を通じた、「日本社会の多様化」と「難民移民のWell Being実現」を目指し、政府や市民団体、教育機関、企業といったマルチセクターが連携するプラットフォームです。
その結果、2023年6月に移住背景のある人材を雇用している、または今後移住背景のある人々を雇用したい企業に向けた雇用・定着・社内外発信等の手がかりとなる指標を「Cultural Diversity Index Beta版」として公表し、公開シンポジウムを開催しました。
公開シンポジウムについてはこちら
指標と教材
Cultural Diversity Index は全39項目あり、「行動宣言」、「社外訴求」、「採用」、「職務環境」、「社内醸成・組織風土」、「社会貢献」、「改善プロセス」の7つの大項目に分かれています。7つの大項目はそれぞれ関連しあうことで、組織全体が多様性を肯定的に捉え、包摂的な価値観と文化を維持継続できると考えています。
また、Cultural Diversity Indexを正しく理解するために学習教材をつくりました。
本教材では、下記の内容を記載しております。
- 指標策定の背景・経緯
- 指標の中で用いられている用語の定義や留意事項
- 7つの大項目ごとに、各項目の設定理由とその意義・必要性
- 各項目ごとに、組織が活用する上での留意点
指標と教材の詳細はこちら
今後の展開
より多くの企業にCultural Diversity Indexを前向きに活用いただく取り組みを進めていきます。
また、本指標は、企業規模や業種等による違いや、移住背景のある人材の多様性、さらには社会の変容にあわせて進化していく必要があり、共に取り組んでくださる企業や法人のみなさまからのフィードバックを通じて、より多様な人々が働きやすい社会の実現に向けアップデートをしていきます。