Living in Peaceは、2021年1月より難民向けマイクロファイナンスの実現可能性検討のため、ガーナ共和国において同国のNGOであるRefugee Integration Organisationとともに調査事業を開始致しました。
難民を始めとする強制移動者(Forcibly Displaced People)は、自発的な意思によらず、紛争や政治的迫害等の外部要因により居住地を逃れることを余儀なくされています。
恒久的解決策には、祖国への自主帰還、庇護国における定住及び第三国定住がありますが、難民の多くは祖国に帰還することができずに、隣接国の難民キャンプ等で長期間の滞在や極めて狭い第三国定住等の選択を強いられています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や市民社会は、こうした方々に対して人道支援の手を差し伸べているものの、解決策が見えない中で事態が長期化し、受入国政府への負担偏重や裨益者側の援助依存、支援者側の援助疲れなどを招いてしまっています。
このような状況下で2018年12月に採択されたGlobal Compact on Refugeesは、予測可能かつ公平な責任分担のための枠組みとして、受入国政府の負担緩和や難民の自立促進を目的として掲げました。
Living in Peaceは上記の課題やGlobal Compactの掲げる目的に鑑み、難民にマイクロファイナンスを提供することは、彼ら/彼女らが自らの能力を生かして生産活動を行い、経済的に自立することへの大きな一助となると考えております。
またその帰結として、受入国政府の負担を軽減するばかりか、発展に貢献する存在になると強く信じています。
他方で、難民向けのマイクロファイナンスを実施するには、就労許可や移動の自由等の、受入国政府の難民政策や居住先の地域社会との関係性などに左右される側面が大きいと考えられます。また、難民向けのマイクロファイナンス事業は先例が限られています。
そこでLiving in Peaceは、事業実施条件の調査やその効果の実証を行う必要があると考え、ガーナ共和国のNGOであるRIOと協力し、同国に居住する長期滞在者を対象に、その生活環境や生計を調査する事業を開始いたしました。
ガーナ共和国を事業実施地としたのは、同国政府が難民に対して就労許可や移動の自由を認めており、難民に対する小口融資による効果等を測定するに適していると判断されたこと、事業実施パートナーの所在地という要因によるものです。
Living in Peaceのマイクロファイナンスプロジェクトでは、「誰もが金融サービスにアクセスできる世界」実現のため、途上国のマイクロファイナンス機関を支援してまいりました。難民向け支援事業により、Living in Peaceの取組みをより困窮した状況に置かれている方へと広げ、金融包摂のさらなる拡大に貢献していきます。