7月度おしごとリップ開催

私たちLiving in Peaceは、児童養護施設で生活する中学生から高校生の子どもたちに、世の中の様々な仕事を知ってもらう機会として、キャリア教育「おしごとリップ」を行っています。

関西おしごとリップ

7月14日、2024年度3回目の「おしごとリップ」を開催しました。今年度から生駒学園と高鷲学園の2施設合同で実施しており、過去最多となる16名の子どもたちが参加してくれました。

今回は、「国民・住民・社会にサービスを提供する」業界の中から公務員の仕事を取り上げ、LIPメンバーの清水さんが講師を務めました。

まずは、公務員のお仕事内容について知るために、国家公務員と地方公務員を比較してみるところから入ります。業務範囲やインパクトが異なるものの、どちらも国民(住民)にサービスを提供する立場であることを説明したのち、清水さんの嬉しかったエピソードについて教えてもらいました。

講義の途中、公務員の業務のひとつである災害対応についてのセクションがあり、同じくLIPメンバーで本業が公務員である石田さんから、能登での災害派遣体験談をお話してもらいました。ほかにも自分を知るための心理テストやミニワークも盛り込まれており、子どもたちは楽しそうに考えながら受講していました。

続いて「ネオ京都市の未来を考えよう」と題して、実際に京都で問題になっている観光公害への解決策を考えるワークを行いました。公務員の業務は国民から徴収した税金によって予算が組まれているため、時にはお金をかけずにアイデアで問題を解決することが求められる場面もあります。一つの手法として「ナッジ(Nudge)」の考え方を紹介し、予算をかけずに観光客の行動を変えられるようなアイデアを考えました。

課題解決にあたり、アイデアを一から考えることに苦戦していましたが、オリジナリティあふれるナッジを提案してくれる子どもも多く、アイデアを出すことの大変さと面白さを体感している様子がうかがえました。

プログラムの最後に清水さんから「未来はわからないが、自分を知るために色々なことに挑戦し、変化に対応できる力を育ててほしい」とのメッセージを伝えてもらいました。また、自分を知るためのツールや目標達成に活用できるツールを紹介し、プログラムは終了です。

今回の講義を受け、子どもたちから「公務員でも新たな発想が求められることを知った」や「ナッジを初めて知り、アイデアを考えるのは難しかったけど楽しかった」との感想が寄せられました。

東京おしごとリップ

7月21日、今期3回目となるおしごとリップを開催いたしました。参加者は、筑波愛児園、クリスマス・ヴィレッジに所属する中高生8名です。

今回は「モノ以外のサービスを提供する」業界にスポットを当て、「人材」のお仕事についてLIPメンバーの李さんが講義を行います。

講師の李さんは、人材紹介の仕事を経験した後、現在は人事採用の仕事に就いています。今回は、その経験の中でも人材紹介業に焦点を当て、「人を採用したい側の企業」と「仕事を探している人」の両方の目線から、人と仕事がどのように出会うのかを学ぶ内容です。

まず、「人材業は誰かの『こうなりたい!』を助ける仕事」をキーワードに、採用を取り巻く環境を説明しました。アルバイトの面接など、子どもたちに身近な例を交えながら、「企業は人を採用することでどうなりたいのか」「働く人はどうなりたくて仕事を選ぶのか」を一緒に考えました。

ワークでは、仕事を探したい求職者の話を聞いて、適切な求人を案内する人材コンサルタントの業務を体験します。

3つのグループに分かれ、LIPメンバーが求職者役をし、子どもたちが人材コンサルタントになりきって求職者の要望を聞き出します。

表面的な質問では、そのひとが「どうなりたい」まで深く聞き出すことはできません。深く知るために5W1H(なに、いつ、どこ、だれ、なぜ、どのように)を聞くようにしようと呼びかけて、ワークシートにない質問にもチャレンジしてもらいました。

人材コンサルタントに扮する子どもたちから「今まで仕事の中で嬉しかったことは何ですか?」という質問が投げかけられたのに対して、「仕事に慣れてきて褒められるようになったのが嬉しかったです」と求職者側の大人が答えると、「具体的に何を褒められたんですか?」「誰がほめてくれましたか?」「いつごろから慣れてきたと思いましたか?」など様々な質問が飛び交います。懸命に頭を働かせて、悩みながらも真剣に相手のことを理解しようとしている姿が印象的でした。

ワークの後半では、前半で求職者から聞き出した情報をもとに、あらかじめ用意していた5つの仕事の中から、どの仕事を求職者に勧めるかを子どもたちで話し合います。

条件も内容も異なる5つの中からどの選択肢を提示するか、意見が割れて議論が白熱するグループも。LIPメンバーの補助もありつつ、お互い自分の意見をきちんと理由をつけて説明し、そのうえで一つの意見に決めることができました。

ワークの最後に、各グループで一つに絞ったお勧めする仕事と、その仕事を選んだ理由を発表して終了です。終わった時にはみんな「頭を使って疲れた!」とやり切った表情をしていました。

講師の李さんは「実際の仕事でも、その人のことを思って真剣に考えることが一番大事。真剣に取り組んでくれたみんなの姿勢が素晴らしい」と頑張った子どもたちをほめていました。

プログラムの最後には、講師から自身のキャリアの紹介と、子どもたちへのメッセージを伝えてもらいます。仕事以外にも様々な経験をしてきた李さんならではのエピソードを交えながら、周りの人を大切にすることや、一歩踏み出す勇気を持つことについて、熱い想いが語られる時間に。終始和気あいあいとした雰囲気で盛り上がっていた今回のおしごとリップでしたが、この時ばかりは全員がじっと、李さんの話に耳を傾けていました。

<子どもたちの感想> ※一部抜粋

  • 人のことを聞き出すには5W1Hが大事だと学んだ。
  • 仕事を探す人と言われてもイメージがぱっとわかなかったけれど知ることができた。
  • 大変だったけど、質問して発表できてよかった。沢山褒められて嬉しかったし、話も楽しかった。
  • (ワークの中で)沢山質問をしたことで、受験においても視点を変えて「面接官はどんなことを知りたいのか」を考える機会になった

私たちLiving in Peaceは、子どもたちのキャリアに対する意識向上に少しでも貢献できるよう、キャリア教育「おしごとリップ」のプログラムを心を込めて届けて参ります。

今後とも、皆さまのご支援を賜りますようどうぞよろしくお願いいたします。

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