児童養護施設建て替え支援事業、寄付金支払い完了のお知らせ

平素は格別なご高配を賜り、誠にありがとうございます。

2009年に活動を開始いたしました「児童養護施設建て替え支援事業」につきまして、支援を行っておりました国内三施設への寄付金支払いが完了いたしましたためご報告申し上げます。

「すべての人に、チャンスを。」をビジョンに掲げて2007年に創設されたLiving in Peaceは、2009年に国内の子どもを対象とする事業を行う「こどもプロジェクト」(旧「教育プロジェクト」)をスタートさせました。

何も知らない状態から、現場との対話を繰り返すなかで一番初めにスタートしたのが、児童養護施設の小規模化に向けた建て替え資金支援事業です。

日本における施設養護は2000年代に、集団養育に適した「大舎」から、虐待などを経験した子どもたちの個別ケアに適した「小舎」「小規模グループケア」への移行(小規模化)が本格的に議論されるようになり、2010年代には具体的な制度によってそれが後押しされるようになりました(Cf. 「社会的養護の課題と将来像」(2011))。

しかし制度化して間もない当時は、施設小規模化の必要性が理解され、それに伴う職員の加配等が約束されても、国や地方自治体からの補助以外の建て替えの必要資金をどう用意するかという大きな課題が残っていました。

施設で日夜子どもに関わっている職員の方々は養育のプロでありますが、資金調達の専門家ではありません。児童養護施設の建て替え支援事業は、そうした課題を解決し、子どもの育ちをみんなで支えていく社会への転換を目指して始まったのです。

幸い、本事業は以降、多くの寄付者の方々に支えられ、現在に至るまで、筑波愛児園、鳥取こども学園、広島新生学園の三施設の小規模化実現に関わることができました。それぞれの地域で子どもの育ちを長年にわたり献身的に支えてきた施設が、さらに良い養育環境になるための手伝いができたこと、大変光栄に思うとともに、寄付者の皆さまには改めて厚くお礼申し上げます。

そして私たちにとってさらに喜ばしいことに、活動開始時と現在を比べると、児童養護施設を始めとする社会的養護の子どもたちを取り巻く状況は、この10年、全体として大きく進展しました。

子どもたち一人ひとりの育ちを丁寧に見守ることができる養育の推進は、さらに進展し、現在は、地域のなかで子どもたちを育てる「地域小規模型グループケア」への移行(脱施設化)が始まっています。「児童養護施設」という言葉は残り続けるかもしれませんが、いわゆる「施設」ではない、普通の一軒家で子どもたちが護り育てられる社会に向かって歩み始めました。

それに伴い、私たちが行ってきた「大型の施設を小規模化するための資金支援」という社会課題解決策も、ひとつの役割を終えたと考えています。

とはいえ、社会的養護(の養育環境)から目を転じて、日本の子どもたちを取り巻く状況を見たとき、それは依然として、あるいはいっそう厳しいものがあります。この社会は、すべての子どもがその存在を肯定され、深く愛しみ育まれているとは到底言えない現状があります。

私たちは建て替え支援が完了した今後も、こうした残された課題に目を向け、多くのパートナー、そしてご支援くださっているみなさまと共に、さらなる課題解決策の創出に努めて参る所存です。

「すべての子どもに、チャンスを。」というビジョンの実現に向けて、どうか今後とも弊団体のさらなる取り組みを変わらず支えてくださいますよう、心よりお願いいたします。

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