明けましておめでとうございます

SNSでこの記事をシェア!
作/龔軼群

20世紀アメリカの哲学者ジョン・ロールズは、著書「正義論」のなかで、「正義にかなった社会とは、どのような社会なのか」について問い、それは、個人の自由が保たれており(自由原理)と不平等が最も不利な立場に人々にとって有利な形で調整される(公平な機会平等原理)社会であると述べています。

予期せぬ自然災害や事故、望まぬ戦争や紛争により、本人の意思によらないところで避難を余儀なくされる人々は、AIなど革新的な技術発展を遂げた21世紀においても、その状況はかわらず、明日何が起こってもおかしくないと思ってしまうのは、きっと私だけではないでしょう。

さまざまな環境変化により、社会の中で不利な立場に置かれた人というのは、特定の個人ではなく、誰もがその立場を経験する可能性をひめています。もしそれが現実的なものになってしまった場合、ジョン・ロールズが唱える公平な機会平等原理とその思想に基づく社会福祉は、現代に生きる私たち一人ひとりにとってなくてはならないものになります。

日本でも公平な機会平等原理に基づく社会福祉の歴史は古く、明治維新後1874年に公布された「恤救規則」から始まり、1929年の「救護法」の制定、そして、戦後日本の社会保障の中核となった「国民皆保険」へとつながります。

日本国憲法の第二十五条には「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という生存権保障、そして第十三条には、一人ひとりが個人として尊重され、自由と幸福を追求する権利である「幸福追求権」について記されています。

Living in Peaceの団体名も、憲法の前文に由来しています。

変化の大きい社会の中で、予想できない今を生きることは、誰にとっても容易なことではなく、予期せぬところでしんどい思いや過酷な状況を強いられることもあるでしょう。

そのような状況や境遇に置かれたときに、私たち一人ひとりが個人として尊重され、自由に自分の人生を描き、歩みを進められる社会というのは、決して理想ではなく、私たちの手でつくり、築き上げていくものであると、先人たちの歩みから学ばされます。

「すべての人に、チャンスを」

新たな1年を迎え、あらためて私たちが掲げるビジョンに心を向けながら、ここに生きる人々の幸せを願い、これからの活動につなげていきたいと思います。

みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

認定NPO法人Living in Peace 代表理事 龔軼群

SNSでこの記事をシェア!