こんにちは、Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。これまで、履歴書・エントリーシート・面接のポイントをお伝えしてきましたが、この記事では、合わせて知っておきたい就職活動(以下、就活)の「グループディスカッション」についてお話しします。
日本の【新卒採用】では、説明会→書類選考→面接という流れで進める会社が多いですが、選考の途中で「グループディスカッション」や「グループワーク」を行うことがあります。この2つの言葉は、使い分けられることもありますが、この記事では「グループディスカッション」と呼び名を統一して、代表的な内容や、取り組むときの基本的なポイントについて説明します。
2019年には約35%(※)の企業でグループディスカッションが行われていましたが、2020年以降は新型コロナウイルスの影響もあり、ひとつの会議室に多くの学生を集めて選考を行うことが難しくなりました。グループディスカッションを中止する企業や、オンラインでのグループディスカッションに切り替える企業もあったようです。
※ダイヤモンド就活ナビ2019 就職モニターレポート12月調査
オンラインで行われるグループディスカッションは、オフラインよりも難しいと感じることもあると思います。まずは、オンラインでもオフラインでも共通する基本の考え方を知り、どちらでも対応できるようになりましょう!
◆グループディスカッションとは
当日集まった学生で3名~5名のグループを作り、与えられた課題に取り組む選考のことを言います。課題を解決するために学生同士で話し合い、面接官がその過程や発表内容・方法などを評価します。面接の一部としてや、インターンシップ(※)の中で行われることが多いです。
※インターンシップの場合は、選考に含まれる場合と選考とは関係ない場合があります。インターンシップについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
課題の説明や取り組み方は、当日にその場で説明され、下調べや事前準備の時間はあまりありません。決められた時間内で話し合い、グループの意見をまとめて発表する形式が多いです。短い場合は15~20分程度のディスカッションを行った後に発表を行ったり、長い場合は数時間程度の課題に取り組んだりします。
グループディスカッションを行うかどうかについて、新卒採用サイトや就活サイトの応募ページに案内している会社もあります。自分が応募したい会社にグループディスカッションがあるのか? ある場合は、どんなグループディスカッションになるのか? できる限り、事前にリサーチしたうえで選考を受けるのがよいでしょう。
◆グループディスカッションのポイント
話し合いの結果や発表内容よりも、話し合いの過程を評価されることが多いようです。そのため、たとえ発表がうまくできた場合でも、グループ全員ではなく、一部の人だけが通過することもあります。
次に、一般的に面接官がチェックしていることをいくつかあげますので、ぜひ参考にしてください。ただ、面接と同じように、グループディスカッションも企業によって大切にしているポイントは様々です。事前に、応募する企業がどんな人物を求めているかを採用サイトなどで必ず確認しましょう。
ほかの人と協力して行動する姿勢(協調性)
・まわりの状況・様子を見ながら自分の意見を話しているか
・その場に応じて、必要な役割を務めることができるか(例:リーダー、タイムキーパー、書記など)
※ディスカッションが始まる前に、役割分担を決める場合もありますが、役割が与えられず始める場合は、その場に応じて役割を果たすスキルも見られていると言えるでしょう。
ほかの人の話を聴く姿勢(傾聴力)
・ほかの人の話をさえぎらないか
・自分と異なる意見を受け止めることができるか
プレゼン力
・自分の意見をわかりやすく伝えられているか
・発言に論理性があるか
・発言に説得力があるか
考える力(思考力・想像力)
・お客様のことを考えることができるか
・立場の違う人のことを想像できるか
・多様なアイディアを考えだすことができるか
行動する力(主体性・行動力)
・課題(グループディスカッション)が始まってすぐ行動に移すことができるか
・リーダーシップをとることができるか
・積極的に発言できているか
そのほか
・時間を意識して取り組めるか
・その企業が求める人材に合っているか
・その企業で働いている人たちと合いそうか
以上のポイントに気をつけながら、積極的にグループディスカッションに取り組みましょう!
しかし、ただ【積極的に発言している】や【リーダーを務めている】だけでは、通過できません。自分の性格に合った役割や周囲の状況にあった役割を務めるようにしましょう。
また、自分自身をアピールすることがポジティブに受け止められるケースもありますが、ひとつのゴールに対して、いかに周囲と協力しながら物事を進めることができているかが、グループディスカッションでは重要となります。
◆グループディスカッションのテーマ
課題は、だれもがわかるような身近なものから、ビジネス一般に関すること、会社独自のものまで様々です。例えば、次のようなテーマがあります。
(1) 課題解決型
・企業のお客様を想定したケーススタディ
お客様の課題を見つけて、それを解決するために自社のどのようなサービス・商品を提案すればよいか、どんなコンサルティングを行えばよいか、を話し合います。お客様の立場になって考えるようにしましょう!
・社内の課題を解決するケーススタディ
人事やマネージャーの目線になって取り組む質問が多いです。「社員のやる気を上げるには?」「残業時間を減らすには?」などがあります。会社の課題は何かを考えて解決策を出しましょう!
・一般的な社会課題
SDGsや、ニュースなどから出題されることがありますので、時事問題はチェックし自分の意見をまとめておきましょう!
(2) 事業企画型
予算や期間などの条件を与えられ、新規事業を計画するグループディスカッションです。たとえば、「旅行会社が新しいサービスを始めるなら?」「来年度当社が取り組むべき事業は?」などがあります。
ディスカッションをすすめるポイントは次の通りです。
①条件と現状の確認する
予算はいくら?何人くらいでする?いつまでに?市場(マーケット)は?などを押さえましょう!
②事業の目的を明確にする
③事業を進めるうえでのボトルネックをみつける
④解決策を並べる
売り上げは?お客様・自社のメリットは?などの視点で考えましょう!
⑤解決策の優先度を決めて答えを出す
※課題解決型より、アウトプット(結果・発表)が重視される傾向にあるようです。
(3) そのほか
・討論型
あるテーマに対し「Aがよいか」と「Bがよいか」に分かれてディスカッションします。なぜその答えを選んだのかを話を組み立ててから、話し始めるのがおすすめです。また、自分の意見ばかり主張せず、相手の意見に耳を傾けるように気をつけましょう。
・ちょっと変わったテーマ
例えば、「無人島に1つだけもっていくなら何にしますか?」や、紙とペンを1セットが渡され「このセットを1つ100万円で売るにはどうするか?」など、日ごろは考えないようなテーマについて話し合います。ほかの人が思いつかないような発想力や、自分や自分のチームの意見をいかに説得力があるように伝えられるかなどが大切です。
◆グループディスカッションを行う理由
最後に、なぜグループディスカッションを行うか? について少し説明します。会社によってグループディスカッションを行う理由は様々ですが、主に次のような点が考えられます。
1.一度に多くの学生を選考できるから
面接では1人、もしくは、グループ面接3~4人の選考を同時に行いますが、グループディスカッションでは、3~5人のグループを、ひとつの会場に複数作って行うことができます。
2015年の情報では、1001名以上の社員のいる会社では約37%の企業でグループディスカッションをしていますが、301~1000名の企業では24%、300名以下の企業では13%と、社員数が少なくなると行われにくくなっています。
「2015年新卒採用中間総括調査」結果報告【3】 HR総研(HRプロ株式会社)
2.「コミュニケーション能力」を評価できるから
日本の新卒採用において、「コミュニケーション能力」が重視されるスキルのひとつだと、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
2018年度の調査で、新卒採用において重視した点として、16年連続【コミュニケーション能力】が1位となっています。
2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果 一般社団法人 日本経済団体連合会
面接でもコミュニケーション能力は確認できますが、学生同士で話し合うグループディスカッションでは、人の話を聴く姿勢や、自分と違う意見に対する反応など、普段の姿に近いコミュニケーションの様子をチェックすることができます。
仕事では、意見の違う人と一緒に物事を進めたり、複数名に対し自分の意見を伝え、話し合ったりすることが必要な場面が多くあります。そのような場面を想定し、「相手にわかりやすく説明できるか?」「他人の意見を聴くことができるか?」「グループのメンバーに対する気配りはできているか?」など、様々な視点からコミュニケーション能力を評価します。
3.面接ではわからないスキルを評価できるから
グループディスカッションを行うことで、「主体的に行動できるか?」「発言は論理的か?」「締切(時間)を意識できているか?」など、書類や面接で伝わらなかったポイントも企業は見ることができます。
また、「ほかの人の話を聴いていない人はいないか」「否定ばかりする人はいないか」「話や課題が理解できないまま、話し合いを続けている人はいないか」などの、面接とは違い、複数名のコミュニケーションだからこそ見える【マイナスポイント】もあります。
面接とは異なる視点で評価をするためグループディスカッションは行われていると言えます。
初めてあった人とのグループディスカッションは、緊張するかもしれません。どんな課題でも落ち着いて取り組むこと、「自分だけをアピールする」という考えではなく、周囲と協力して時間内に答えを見つけようとする姿勢が大切です。
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今回は、日本で育った学生でも苦手意識を持つことが多い、グループディスカッションについて説明しました。ひきつづき、就職するときの在留資格についてなど、お役立ち情報を更新していきますので、ぜひチェックしてくださいね。
執筆:宮本麻由(Living in Peace)