こんにちは、Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。
前回に続いて、外国ルーツの学生向けに就職活動の基本情報を発信します。なお、「就職活動」は略して「就活」、就職活動中の学生は「就活生」と呼ぶことが多いため、この記事でも「就活」「就活生」と略して書きます。
就活生にとって、最初のハードルは書類選考です。採用企業に提出する書類は、【履歴書】と【エントリーシート】が一般的です。ただ、この2つの書類には、あいまいなルールがたくさんあるため、日本で育った就活生でも、作成に苦労することが多いです。
Vol.2では、「自身のプロフィール」などを書く【履歴書】の作成について、ポイントをしぼってお伝えします。最後に、履歴書の見本がありますので、ぜひ使ってください。
◆履歴書の基本
「見やすさ」「わかりやすさ」が大切です。誤字脱字に気をつけて書き、すべて書き終えた後に、必ずもう一度チェックしましょう。
- 市販の履歴書(「JIS規格」と呼ばれることが多い)や学校指定のものを使いましょう。学校指定の履歴書は、大学のホームページでダウンロードできたり、大学生協の売店で売っていたりします。
- パソコン、または、手書きで作成します。パソコンで作成する場合のフォントは、日本のビジネスシーンで一般的な「ゴシック」や「明朝」にしましょう。
- 企業によっては、”手書きで履歴書を作成すること”を指定している場合があります。手書きでは、黒のボールペンを使用します。間違えたら、必ず、新しい書類に書き直しましょう。修正液・修正テープは使いません。
- 履歴書など大切な書類を書くときには、「消せるインク」のボールペンは使いません。
【TIPS】企業から”手書き”が指定されている場合、文字の丁寧さなどをチェックされている場合があります。時間がかかりますが、丁寧に書きましょう。
- 「年」を書くところは、西暦(20●●年)または年号(令和●●年)を、履歴書全体で同じにします。
- 名前や住所を書くところには、ふりがなの欄があります。「ふりがな」のところにはひらがなを、「フリガナ」のところにはカタカナを使って書くように気を付けましょう!
- 最近は、性別に〇をつけるところや、写真を貼り付ける枠がない履歴書もあるようです。企業の求める書類を事前に確認して、作成・提出するようにしましょう。
◆顔写真
多くの企業が新卒採用の履歴書に、顔写真を貼り付けることを求めます(2020年時点)。書類に「写真」の枠がある場合は、必ず顔写真を貼るようにしましょう。
履歴書用の顔写真について、一般的なサイズは縦4cm・横3cmです。背景は、白か青の無地を選びましょう。自撮りではなく、駅や街中に設置されている「証明写真機」を使うか、プロに撮影してもらうことがおすすめです。
写真を撮るとき
- 服装:リクルートスーツ
- 髪型:整えて、前髪は目にかからないようにする。ロングヘアの場合は、後ろでまとめるなどして、顔にかからないようにする。両耳が出ていると安心感や信頼感を与える印象になるとされている。
- 化粧:女性は、薄化粧をするのがビジネスマナーと言われている。
- 表情:おだやかな表情。歯を見せて笑わない。
- 撮影時:背筋を伸ばし、アゴを引いて、正面を向く。胸から上を撮影する。
もしも、書類からはがれてしまった場合も、誰の写真かわかるように、写真の裏に名前と学校名を書きます。履歴書にのりを使って貼ります。
セロハンテープやホチキスは、はがれやすかったり、見た目が悪くなったりするため、履歴書の写真を貼るときには使わないのがマナーです。
【TIPS】応募書類を郵送するときも、上記と同じ理由で、セロハンテープやホチキスで封筒に封をしてはいけません。のりで封をしましょう。
◆学歴
学歴(学校の入学・卒業)と職歴(仕事の経験)は分けて、それぞれ古いほうから順に書きます。
- 中学(義務教育)卒業から書きます。
- 学歴を書くときは、入学で一行、卒業で一行を使います。職歴を書くときも、入社で一行、退社で一行を使います。
【良い例】20XX年 ○○大学 ○○学部 ○○学科 入学
20XX年 ○○大学 ○○学部 ○○学科 卒業見込み
【悪い例】20XX年~20XX年 ○○高等学校 ○○学部 ○○学科
【良い例】東京都立 ABC高等学校 入学
【悪い例】ABC高校 入学
日本語学校など短い在学期間の学校が複数ある場合や、重複した在学がある場合は、長くなって見づらいことがあります。別途【その他の経歴】欄を作成し●●年●月~●月 ●●日本語学校などと書きましょう。
【TIPS】海外の学校は日本の採用担当者にわかりづらい場合があります。日本ではどんな学校(専門学校、大学など)に該当するかを()で書くと親切です。
◆インターンシップ・アルバイトなどの書き方
日本の学生は、ほとんどがアルバイトやインターン以外で就職した経験がありません。そのため、新卒用の履歴書は学歴・職歴を書くところが少ないです。
学校に行きながら働いたアルバイトや、数日のインターンシップは書きません。それらをすべて書くと、履歴書が長くなってしまい、見づらくなるからです。また、短い間でたくさんの職場を経験していると、「あきっぽい」「採用してもすぐにやめてしまう」という、マイナスな印象を持たれてしまうこともあります。
応募する企業で活かせる仕事の経験をアピールしたいときや、学校に行っていない期間について説明が必要な場合は、学歴とは別に【その他の経歴】欄を作成し、「●●年●月~●月 ●●株式会社 インターン」と書きましょう。
◆資格・免許
資格・免許は正式名称で書きましょう。(例:N3→日本語能力試験 N3)日本語能力試験や仕事で必要になる資格については、今勉強しているものを書いても問題ありません。仕事と関係ない資格や免許は書きません。
◆趣味・特技
趣味・特技は自己PRを行うために大切な欄です。たとえば、”協調性があること”、”ひとつのことを長く続けることができること”、”上手にストレスコントロールができること”、”行動力があること”、などをアピールできるような趣味・特技を選んで書きましょう。
【良い例】趣味:おいしいものを食べること。おいしいものを求めて、初めてのところでもフットワーク軽く訪れます。地元の人とコミュニケーションをとり、ほかの旅行客が知らないおいしいものを見つけてSNSで公開しています。
【悪い例】趣味:食べること
◆履歴書サンプル
以下に履歴書サンプルを載せていますので、ぜひダウンロードして活用してください。
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今回は、就職活動で欠かせない履歴書の書き方のポイントをまとめました。次回は、履歴書と同時に就活生が苦戦する「エントリーシート」の書き方と、その中でキーとなる「自己PR」「志望動機」について解説していきます。
執筆:宮本麻由(Living in Peace)