【認定NPO法人Living in Peace】が社会的養護下にある子どもの進学をサポートする資金シミュレーションサービスの提供を開始

認定NPO法人Living in Peace(代表理事:龔軼群・中里晋三、以下「LIP」)は自立支援コーディネーター監修の元、2022年3月より、専門学校や大学へ進学する社会的養護下にある子ども向けに特化した進学シミュレーションサービス「LIP進学シミュレーション」の提供を開始いたします。

「LIP進学シミュレーション」は、大学や専門学校への入学を考えている児童養護施設に暮らす子どもが、学校を卒業するまでに、いつ、どんなお金がかかりそうかのシミュレーション計算を簡単にできるシステムです。

日本には様々な事情で親と一緒に暮らすことができずに、児童養護施設で暮らす子どもがおよそ2.4万人います。

施設で暮らす子どもの多くは、高校卒業と同時に施設も退所しなければなりません。そしてその後は自分自身で必要な生活費を全て用意しなければならないため、大学や専門学校に進学するという選択をしづらい現状があります。

また、大学や専門学校に進学しても、入学金や授業料などの学費がかかるのはもちろんのこと、家賃や、今まで施設にいたため意識もしていなかった水道光熱費など、新たに発生する負担も多くあります。困った時に頼れる大人が身近にいない場合もあり、結果として中退率も全国平均より高くなっています。

 参考:特定非営利活動法人 ブリッジフォースマイルの調査(2021年)

進学率中退率
全国平均77.0%  2.7% ※1
児童養護施設出身者44.8%27.1% ※2
※1 2012 年の 1 年間に大学・短大・高等専門学校を中退した学生の割合(文部科学省2014年発表)
※2 進学後 2年3カ月が経過した時点
特定非営利活動法人 ブリッジフォースマイル 全国児童養護施設退所者トラッキング調査2021 報告書

そのため、施設に暮らす子どもが進学を検討する場合、奨学金や学費、アルバイト収入、生活費、賃貸契約の更新料など、とても複雑な資金プランを立てなければなりません(また、こうした進学のお金に関する課題は、里親・ファミリーホームなど児童養護施設以外の社会的養護下の子どもにも共通していると考えられます)。

「LIP進学シミュレーション」はこうした手間を減らし、進学を希望する子どもたちの後押しをするだけでなく、多忙な児童養護施設職員の方々の進学相談における負担を軽減することが可能です。

それぞれのニーズに応じた2種類のシミュレーションを用意

進学する際にプランニングが必要となるお金は、進学する学校の種類や住む地域、その他の理由によって人それぞれ条件が異なります。

そこで「LIP進学シミュレーション」では、一人ひとりの異なるニーズに対応するために、短時間で調べることができる「かんたんシミュレーション」と、より細かくシミュレーションを行うことができる「しっかりシミュレーション」の2種類を準備しました。

「かんたんシミュレーション」では、6つの質問に対して自分に近い条件を選択するだけで、在学期間中の毎月の収入・支出と、貯金残高・奨学金借入残高をグラフで確認することができます(社会的養護出身者がもらえる可能性が高い奨学金等を前提として算出)。

「しっかりシミュレーション」は、基本情報、奨学金、学費、生活の収支を順番に入れていくことで、より一人ひとりに最適化されたシミュレーションを行うことができます。

使いやすくするために、日本学生支援機構の給付型奨学金など、よく利用される奨学金は金額があらかじめセットされているほか、引越費用、礼金・敷金・仲介手数料、更新料といった金額の大きい臨時の出費も計算に入れることが可能です。

進学にあたっては、どのようなお金が必要で、それをどのように賄うのかを、あらかじめ知っておくことがとても大切です。

そこでこうしたアドバイスをまとめた「入力ガイド」も同時に作成し、特に大事な奨学金や、学費をはじめとした進学後の生活にかかるお金のことについて学ぶことができるようにしました。

「LIP進学シミュレーション」「入力ガイド」はこちらからアクセスできます。

開発のアドバイスをいただいた自立支援コーディネーターの声

<自立支援コーディネーター 大澤 亮>

今までは自作のスプレッドシートで進学後の資金計画を立てていましたが、このシミュレーションがあれば随分と楽になります。子ども自身が奨学金や学費を調べることは自立にもつながります。現場のニーズは高いので全国の児童養護施設で広まってほしいです。

<自立支援コーディネーター 郡司 公太>

とても簡単に資金シミュレーションができます。操作も簡単でわかりやすく、使いやすいシミュレーションです。これまでは1年ごとの収支しか計算できていませんでしたが、これを利用することで、月々までより細かい綿密なシミュレーションを立てることができるので、とても便利です。これが普及することで、進学を希望する子どもたちが増え、将来に希望が持てるようになるのではないかとわくわくしています。

LIPは、進学シミュレーションを通じて社会的養護下にある子どもの進学の状況を改善できるよう、普及に努めていきます。

<問合せ窓口>
Living in Peace こどもプロジェクト
inquiry@living-in-peace.org
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