こんにちは! 認定NPO法人Living in Peace(以下LIP)です!
LIPでは2011年より、児童養護施設で暮らす子どもたちを対象としたキャリア教育プログラム(「おしごとリップ」)を実施してまいりました。
そしてこの度、どのような方でも「おしごとリップ」をベースにしたキャリアプログラムを企画・運営できる状態をつくり、多くの方々の協力を得ながら世の中に広く展開していきたいという想いから、本プログラムの実施マニュアルを作成いたしました!
マニュアルの共有をご希望される方は、本記事の内容をご確認の上、記事下部の問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです!
こんな方々に読んでいただきたい
以下に該当される方で、自立に関する支援、キャリア教育に関心のある方
・社会的養護下の子どもたち向けの支援を行っている方
・貧困、虐待といった、生い立ちに困難を抱える子どものサポートを行われている方
・こども食堂などの居場所事業を行われている方
児童養護施設で暮らす子どもたちが抱える、キャリアの課題
児童養護施設で暮らす子どもたちの多くは、高校卒業と同時に施設からの退所を余儀なくされます。
近年では奨学金制度の拡充により、少しずつ進学率が上がってきていますが、この時点で多くの子どもたちは就職を選択することになります。全高卒者と比較をすると、進学する子どもの割合はまだまだ低いのです。
また、進学や就労といったステージに進んだ後も、孤独感や資金的困難、また未来への不安感から、生活が不安定になりがちであり、結果として貧困状態に陥りやすいという現実があります。
その主な原因として、以下2点が考えられます。
1.職業選択の知識が乏しい
子どもたちは将来の進路をより早期に固める必要があるにもかかわらず、施設職員以外の大人と接する機会が少なく、世の中の職業やキャリアパス、また職業観を知る機会が限られています。
こうした現実が職業選択の幅を狭め、またサービス業や福祉関係といった、ある一定の職業に偏った選択に繋がっていると考えられます(詳しくはコチラをご覧ください)。
2.自立に向けた心の準備ができていない
児童養護施設は恒常的に人手不足の状態であり、日常のケアに加えて就職・進学に対する手厚いサポート等の自立支援を行うことが困難な状況にあります。
こうしたことから、自立に向けた心の準備が十分でないまま施設の退所を迎えてしまい、それが高い失業率や低い継続率といった就業の不安定さに繋がっていると考えられています。
プログラムが担う解決策
今回マニュアルを作成した「おしごとリップ」は、こうした課題を解決するためにスタートした、通年のキャリア教育プログラムです。
上記の課題に対して、本プログラムでは次のような解決策の提供を試みています。
1.幅広い職業の選択肢を示すために、さまざまな業界から講師をお招きする
「おしごとリップ」では、幅広い職業の選択肢を知る機会を作るため、職業の業界を7つに分類。1年を通してすべての業界の講師をお招きし、業界知識や具体的な仕事内容、また自身のキャリアについて語っていただいています。
また座学だけでなく、ワークを通して職業理解を深め、考える力や発信力を身につけ、他者との関係性向上・自律性・有能感の醸成を目指しています(更に、定期的な面談を実施し、個人の興味・関心に合わせた社会見学を調整したり同行したりするケースもあります)。
2.上記のワークを通じて、自立に向けた心の準備を行う
本プログラムでは、子どもたちに多くの職業に触れるだけでなく、その経験が自立に向けた心の準備として機能するよう、下記の3点に力を入れています。
①非認知能力の強化 自立にあたり非常に重要となる、「粘り強さ」「誠実さ」「人間関係構築」といった非認知能力を伸ばすことを重視しています(職業の知識は陳腐化するが、非認知能力は一度身についたら失われず、認知能力の形成や将来の経済的な成功に寄与することが分かっており、自立後に必ず役立つため)。
②インケア時点からの実施 退所の直前に行うのではなく、自立に向けてじっくり心の準備ができるよう、時間をかけて提供するプログラムとなっています。高校受験がキャリア形成の最初の大切な関門とも言えるため、中学校1年生から参加できるとより効果が高まると考えています。
③長期的な実施 非認知能力を育むには子どもとの長期的な関係性構築が不可欠であること、将来の選択肢を複数知ってほしいという想いから、単発ではなく1年間に10回前後を1タームとし、実施しています。可能であれば、数年間継続して参加してもらえるとより効果が高まります。
また、本プログラムは、子どもと大人の良好な関係性の上に成り立つものです。そのため、子どもたちと運営メンバーが一定の時間をかけて関係を築き、子どもたちが安心できる環境を作りながら職業観や世界観を広げてもらうことを大切にしています。
そのため年間を通して、子どもたちには可能な限り毎回のセッションに参加してもらうよう、日程調整においても協力をしてもらいます。具体的には、部活と親子交流の予定以外は、プログラムへの出席を優先してもらうよう、お願いしています。
本プログラムを通して見込める効果
本プログラム「おしごとリップ」に参加した子どもたちの変化は、子どもたちの声だけでなく、日ごろ子どもたちに寄り添いながら生活をされている自立支援コーディネーターの方や職員さんからいただく声の中にも見出すことができます。
子どもたちの声 ・今までは保育士になりたいとだけ思っていたけれど、色々なことに興味を持った。 ・自分の意見だけじゃなく、他の人の意見も聞けるようになった。 ・みんなの前に出て発表できるようになった。
自立支援コーディネーター・ケアワーカーの声 ・「プログラミンングの仕事について話が聞きたい」等の具体的な要望が出てくるようになり、実際にその職に就いている人に話を聞く子どもが出てきた。 ・人前で話すことができなかった子が発表できるようになり、驚いている。 ・普段職員には話さないことを、LIPメンバーには話していることに驚いた。自分の気持ちを吐き出せる場所があることを、非常にポジティブに捉えている。
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ここまで、ご覧いただきありがとうございます。ここまでご紹介した内容にご関心をお持ちくださった方には、ぜひマニュアルもご覧いただけますと幸いです!これまでわたしたちが培ってきたプログラムを、一緒に盛り上げてくださる方からのご連絡をお待ちしております。
マニュアル自体は非常にボリュームがあり、かつ文字だけではお伝えしきれないことも多くございますので、可能な手段においてコミュニケーションを取りながら、よりよいプログラム展開を目指して参りたいと考えております。
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