立秋を過ぎても、暑い盛りが続きます。
暑い暑い屋外では、つい前ばかりを凝視して一目散に涼しい室内を目指してしまいがちです。しかし、一年でもっともエネルギーに溢れた空は、立ち止まって頭上を振り仰ぐ者に力をくれます。
時刻を遅らせれば、これが織姫と彦星が年に一度の逢瀬を遂げる天空なのです(今年の旧暦七夕は8月14日)。
小さいころから空を垂直に見上げたまま歩くのが好きです。今でもたまにやれば、空に向かって頭から落下しているような不思議な気分になって、やっぱり楽しい。
勝手な遊びで私と同じように感じる保証はないですが、よろしければお試しください(ただし、足元と周囲に気を付けて)。
私たちは重力によって地球の重心に向かって落下しているのに、その瞬間、真逆のことが起きているかのように感じられるのは、本当に不思議です。
ところで最近、「生きる」に関連して、この心象に重なるものが二つ意識されるようになりました。
ひとつは、生きれば生きるほど過去に遡行するかのごとく、私が生きてこなかった遠い歴史が今リアルに迫ってくること。もうひとつは、年を重ねれば重ねるほど、生まれたばかりの人たちの存在がより強く感じられてくること。
この二つは似ているように見えて、よく考えれば対極のようにも感じます。それでも、冒頭の「空に向かって落ちる楽しさ」も含め、それらが私のなかで仲良く同居しているということは、きっと同じ何かなのでしょう。
私がこの文章を書いている8月11日、外はこれぞ夏を思わせる気持ちの良い晴天で、また私の祖父母たちが生きた原爆投下と敗戦の両日に挟まれた日でもありますが、さきほど折よく、姉の子の誕生の知らせが届きました。
なぜか不思議と三者が交叉するものです。
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