私たちLiving in Peaceは、児童養護施設で生活する中学生から高校生の子どもたちに、世の中の様々な仕事を知ってもらう機会として、キャリア教育「おしごとリップ」を行っています。
関西おしごとリップ
11月10日、2024年度6回目となる「おしごとリップ」を開催しました。今回も、生駒学園と高鷲学園の2施設から11名の子どもが参加してくれました。
先月のおしごとリップでは、子ども達に商品のキャッチコピーを考えてもらいました。
https://www.living-in-peace.org/news/kodomo-2024-10-02/
今月の冒頭で、そのキャッチコピーが実店舗に並べられた写真を共有したところ、子どもたちはとても喜んでいました。素敵な機会を提供をいただいた講師の方々に改めて感謝申し上げます。
さて、今回は年に1回の「お金に関する回」です。施設退所後を考えると非常に大切なテーマです。どうしても、内容が難しくなりがちなテーマですが、お金の教育チームを中心に、メンバー一同工夫を凝らして資料を作成しました。講師には、LIPメンバーから3名が登壇しました。
まず一人目の講師として、梅田さんから、「自分にあったお金の使い方を考えよう」というテーマで講義をしてもらいました。真剣さの合間にも軽快な口調でユーモラスに解説する様子に、子どもたちも楽しげで、和やかな雰囲気で講義が進んでいきました。
講義はワークを中心に実施し、「支出を考える」と題して、お金を使い過ぎたA君を想定し、実際のレシート等から転記したリアルな支出の項目について、「何を」「どのように」「何故」節約するのかをグループに分かれて考えてもらいました。
後半では、お金を使う場面において、「何のために使うのか」を深堀りして考えることについて強調して講義し、梅田さんからは「たとえ人と違っても自分にあったお金の使い方をすることが大事。定期的に家計簿をつけて見直していこう!」というメッセージで熱く締めてもらいました。
二人目の講師は、LIPメンバーの木下さんから、「お金の危ないワナ」と題して、子どもたちが陥りやすい内容にスポットを当てて講義をしてもらいました。悪い借金の金利や、リボ払いの制度について、クイズを用いた解説がありました。特に、木下さんからは、本業に絡めたお話で、借金に陥る実態や最近起こっている事例などを実体験に基づくリアルな話をたくさん話してもらいました。真剣な眼差しで講義を受ける子どもたちの様子が印象に残りました。また、講義の後では、施設の先生からも、「とても大切な話なので、おしごとリップを受けていない子どもたちにも是非聞かせたい」といった、大変嬉しいお言葉もいただきました。
三人目の講師として、森山さんに登壇いただき、「「信用」の大切さを意識しよう」といった、これまでとは少し違う観点でお金と信用を絡めた講義をしてもらいました。
社会に出ると信用が大事になるという話を、「報告」「連絡」「相談」に基づいて、具体的に解説をしました。特にお金に関する情報として、あまり知られていない「信用情報」を意識することや、クレジットカードの支払いをしっかりと継続して行うことの大事さを強調してもらいました。
後半のワークでは、スマホ代金が支払えなかった友達に対して、どのようなアドバイスをするかをケーススタディにして、個人及びグループで回答を考えてもらいました。
今回は、お金と信用を絡めた新鮮な講義内容でしたが、講師の森山さんが分かりやすい例を豊富に資料に盛り込み、時折子どもたちにも発言を促すなどしてくれたお陰で、子どもたちも違和感なく理解している様子が見てとれました。
今回、参加してくれた子どもたちからは、以下のような感想がありました。
・お金は必要な時だけ使うけれど、別に後々必要でないものは買わないことが大切だとわかった。大切なのは、支出よりも収入が多いということ。
・リボ払いは、月々の支払いは少ないけれど、利息が高いことを知れて良かった。
・お金一つで、人生が左右されることを知った。
・信用は日々の積み重ねだと改めて感じました。毎日の言葉に気を付けていきたいです。
また、今月の講義を行うに際して、先月に引き続き施設の垣根を超えたグループ編成で実施したため、コミュニケーションが促進されるように、最初の時間を使ってチーム対抗でミニゲームをしてもらいました。楽しみながら、お互いの知らない情報を聞き合うことで、少しずつですが距離が縮まったように思います。これからも趣向を凝らして続けていきたいと思います。
お金の回は、過去参加してくれた子どもから「おしごとリップで一番内容が難しい回」と言われたこともあり、大切なエッセンスは生かしつつも、より子どもたちに伝わりやすい内容となるよう、メンバー内で検討を重ねて試行錯誤してきました。これからも、内容のブラッシュアップを続けて、より良い講義を子どもたちに届けていきたいと思います。
東京おしごとリップ
11月17日(日)、2024年度第6回目の「おしごとリップ」を開催しました。今回は、10人の子どもたちが参加してくれました!
(今年度、プログラムに参加してくれている子どもたちが全員集合となった回でした!運営側としてもとてもうれしかったです)
今月のテーマは「IT業界」。講師にはフリーランスエンジニアの的場さんをお迎えし、IT業界の仕事についての講義をしていただくとともに、仕事に対する価値観と子どもたちへのメッセージを語っていただきました。
講義では、IT業界の仕事が主にどのように分類されているかという話から始まり、講師が関わっているソフトウェア開発のお仕事にフォーカスしてお話をいただきました。
また、講師がフリーのエンジニアということで、会社に所属して働くこととフリーランスとして働くことの違いにも触れていただきました。
次にワークですが、今回のワークは2パートに分けて行いました。
まずは、講師の伝えたいことの一つでもある、「プログラミングの楽しさを子どもたちに知って欲しい!」ということで、HTML/CSS/JavaScriptを使った簡単なタイピングゲームを改造してみる、という個人ワークを行いました。
個人ワークの後はグループワークで、改造したプログラミングゲームをより面白くかつ遊びやすくするにはどうすればいいか、みんなでアイデアを考えました。
プログラミングは大人にとっても難しく、今回のワークを通じて「プログラミング楽しい!」と思ってもらえるか運営側としても不安でしたが、蓋を開けてみたら大盛り上がりでホッとしたとともに、子どもたちの吸収力の高さや頼もしさを感じました。
(画像右側の初期状態から、HTMLやCSS,JavaScriptを編集、思い思いに改造してもらいました)
最後に講師からのメッセージということで、「自分にとっての良い仕事を(できれば)早めに見つけられるとよい」、という言葉をいただきました。
自分の興味のあることを早期に見つけることは簡単ではないですが、子どもたちには普段の生活の中やこのプログラムを通して、少しでもそのきっかけを見つけだしてほしいなと思います。
今回の講義を通じて、子どもたちからは下記のような感想をもらいました。
・タイピングゲームを作るのがとてもたのしかった
・前から気になっていた仕事なので知れてよかった
・プログラミングは学んで損しないことがわかった
今後も子どもたちの未来に繋がる貴重な機会を創出して参りますので、ご支援・ご指導のほど、引き続きよろしくお願い致します。