Living in Peaceでの難民支援活動
Living in Peaceは、「すべての人に、チャンスを。」「社会のことも、私事(しごと)に。」という合言葉のもとすべてのメンバーが仕事などの本分を別に持ち、互いの時間を持ち寄って活動する認定NPO法人です。社会の可能性を信じ、立場によらずその変革も「しごと=私のこと」とする人たちの力で、真に平等な機会のある社会の実現を目指しています。
難民プロジェクトでは、日本に逃れてきた難民の方々が自立するための就労支援を柱に事業を行っています。日本での就職活動のサポートや日本語習得支援を提供すると同時に、2023年には、組織の文化的多様性にフォーカスをした社会包摂の指針「Cultural Diversity Index」を作成しました。
難民支援における官民連携の重要性
難民の受け入れにおいては政府機関が窓口となるため、難民の方々との繋がりを得るためにはそれらの政府機関との連携が必ず必要になりますが、それと同時に専門性の高いサービスを提供する民間企業やNPOとの連携も不可欠となります。
メンバー全員がプロボノであり民間企業に所属するメンバーが多数を占める関係上、民間企業や政府機関など多様なステークホルダーを巻き込み、より大きな枠組みでの事業展開が可能となります。
また全員がプロボノである組織の弱点として、フルタイム職員中心のNPOと比較して人員の入れ替わりが起きやすく、組織体制が不安定になりやすい点が挙げられますが、サービス提供体制の確立された法人組織と連携することで安定的な支援を行うことができます。
難民支援における官民連携の取り組み実例
就労支援(キャリアサポートプログラム)
就労支援(キャリアサポートプログラム)では、難民の方々が希望する進路に進めるようサポートをしています。 具体的には、難民の学生に向けて、日本で就職するための知識を得てもらうセミナーを開催したり、就職活動に関する相談窓口を設け、自己分析や履歴書の添削、面接の練習を含む個別伴走支援を行っています。また、外国籍の方々に向けて日本の就職活動の特徴を説明する記事や、人事の視点を紹介する記事を発信しています。
就労支援のプロジェクトでは、主に「UNHCR駐日事務所」、「JICAシリア平和への架け橋・人材育成プログラム」との連携を行い、難民当事者や難民背景をもつ学生の方を対象に支援を行っています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、70年以上にわたり、世界の難民の保護と支援を行ってきた国連の機関です。
組織としての主な目的は、故郷を追われた人々の人権と尊厳を守ることです。すべての人が国際的な保護を求めることができ、安全な生活が確保されるよう、世界130カ国以上で活動しています。政府やパートナー団体、コミュニティとも密接に連携しながら、恒久的な解決策を見いだすために日々取り組みを進めています。(国連連合広報センター公式サイトより)
シリア難民に対する人材育成事業「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム(Japanese Initiative for the future of Syrian Refugees:JISR(ジスル)」は、2016年5月に日本政府が表明した中東支援策の1つで、シリア危機により就学機会を奪われたシリア人の若者に教育の機会を提供するものです。
JICAは、技術協力の枠組みの中で、ヨルダン、レバノンに難民として逃れているシリア人の若者を対象に、2017年より留学生を日本に受け入れています。 (公式サイトからの抜粋)
日本語学習支援(LIP Learning)
日本で暮らす難民の方々が、就労のためや暮らしやすさの向上のために必要となる様々な学びの機会を提供するプログラムです。来日する前に受けた迫害等による身体的・精神的なダメージを抱えていたり、経済的な余裕がなかったりなどの事情から、難民の方々はその日を凌ぐのに精いっぱいで、中長期的なキャリアを想い描くのが難しいことがあります。
そのような難民の方々一人ひとりが望むキャリアや自立した暮らしを実現するためには、就労に必要なスキルや語学力の習得が欠かせません。LIP-Learningでは、スキル習得や学習に集中できる機会の提供を行うことにより、難民の方々の社会統合につながる支援を目指しています。
難民の方々との直接・間接的な繋がりが強いLiving in Peaceが窓口となって、学習プログラムの募集・選考やファンドレイジング活動を行い、実際の日本語学習授業は以下に紹介する外部の日本語教育機関に委託する形式をとっています。また一部提携先では、Living in Peaceを通じて応募する難民背景をもつ方々への授業料を免除いただいております。
ISI日本語学校は1977年に長野県上田市に「個人塾」として創業して以来、世界120か国の国と地域からの学生を受け入れてきた国内最大級の日本語学校です。「グローバル人材育成のための教育環境の創造を通じて、人々の夢の実現と国際社会の発展に貢献すること」を学校理念とし、現在国内に8つの日本語学校を設立・運営しています。
27th株式会社(gokigen japanese)
株式会社27thは日本文化への興味をきっかけに日本語学習を希望する外国人向けのオンライン日本語会話サービス『gokigen japanese』を提供しています。主な利用者は、欧米・カナダ・オーストラリア等を中心とした英語圏の在住/出身者で、英語が堪能な日本語講師が授業を実施されています。2024年5月より提携を行い、難民の方々に向けた日本語レッスンの無料提供トライアルを開始しました。
NPO法人 にわとりの会
愛知県小牧市を中心に、活動しているNPO法人です。「外国につながる子どもたち」「多言語環境で育つ子どもたち」が持つ複数の文化的伝統や歴史的背景が相乗的に機能する社会作りを目指し、移民背景をもつ子どもたちをメインに日本学習を提供されています。
独自に漢字学習を行えるアプリを開発するなど、NPO法人としてクリエイティブに活動されているのが特徴的です。
TIJ思徳会(旧TIJ東京日本語研修所講師グループ)
日本語学校として1991年より展開し、Living in Peaceでも授業の委託を行っていた「TIJ東京日本語研修所」が事業撤退を行った後も、難民の方々へ実際に授業を行ってくださっていた講師の方々によって構成された任意団体です。TIJ東京日本語研修所からの移管後も変わらず、質の高い授業を提供いただいております。
企業の文化的多様性の包括の支援(Cultural Diversity Index)
この事業は、難民等を含む移住背景のある人々も働きやすい職場環境整備を目的とした、企業を評価する指標を策定し普及させることをミッションとしています。Cultural Diversity Index(以下、CDI)を活用することで、企業は自社の移住背景のある人材の包摂状況、他社と比較したときの自社の立ち位置、自社の改善事項等の把握に役立てていただくことができます。評価結果は公表され、取り組み先進企業の取り組みを奨励していきます。
東京大学、筑波大学との共同研究
CDIの原点となる活動としては、東京大学、筑波大学、Living in Peaceは共同で、日本における移民・難民第二世代の教育から就労への移行における課題について、移民・難民背景のある学生及び企業双方の視点から研究を行っています。
研究成果は2022年5月に「移民・難民学生のキャリア形成と共創する社会へ ―学生の就職活動経験と企業の採用に関する調査報告書―」としてとりまとめ、公表しています。
Cultural Diversity Indexの策定
Living in Peaceは、就労支援で実践を通して企業側の課題に対する解決策の必要性を強く感じ、「互いのノウハウを共有し讃え合う仕組みをつくる必要がある」と考え、文化的多様性の包括に向けた取組みを評価する指標づくりに着手しました。
CDIとして企業が互いのノウハウを共有し讃え合う仕組みをつくるためには、多様なセクターが参加することが有益です。そこで、Welcome Japan※の就労分科会において、大学・企業・NPOといった多様なセクターの人たちが共同で作業に取り組みました。
その結果、2023年6月に移住背景のある人材を雇用している、または今後移住背景のある人々を雇用したい企業に向けた雇用・定着・社内外発信等の手がかりとなる指標を「Cultural Diversity Index Beta版」として公表し、公開シンポジウムを開催しました。
このCDIは2024年に正式版をリリースし、企業での活用を開始しており、今後も導入を検討してくださる企業様を募集しています。
一般社団法人 Welcome Japanは、「難民も日本も、みんなでたくましく」をパーパスに掲げ2021年11月に設立した、「難民包摂による日本社会の多様化」と「難民自身のWell-being」の実現のため、日本社会全体で多様な包摂の拡充を目指す中間支援組織です。
難民問題が深刻化の一途を辿り社会全体による包摂が求められている中、日本の難民包摂に向けたマルチセクター連携を加速させるべく、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ともコミュニケーションを取りながら多岐に渡る分科会を組成し重要アジェンダに関する対話を重ね、分科会での検討過程や調査資料を社会発信にも繋げています。
Living in Peace と一緒に難民支援に取り組みませんか?
以上のように、Living in Peace では官民合わせた多様な機関と提携し事業を行っています。国内に在住する難民の支援に興味のある事業者様はお気軽にお問い合わせくださいませ。
事業で提携する
以下のような提携に興味をお持ちの事業者様はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡くださいませ。いただいた連絡は全て拝見し、3-4営業日を目安にご返信させていただきます。
- 貴社におけるCDIの採用
- 難民の方々への日本語学習の提供
- Living in Peace のアセットを生かした事業創出
寄附を通じて支援する
Living in Peace では、法人・個人ともに寄付を受け付けております。理事を含め所属するすべてのメンバーが本業を持ちながら無給で活動しているため、いただいたご支援の約96%を支援先のために使用することが可能です。
また、Living in Peaceは東京都より認定を受けた認定NPO法人です。そのため当団体へご寄付をいただいた場合、税制上の優遇措置を受けることが可能になります。
詳しくはこちらをご参照ください。
メンバーとして参加する
ともに事業をつくってくださるメンバーも常に募集しています。専属職員を持たないため、メンバーそれぞれが事業の中核となり活動することができます。また法務・IT・人事などの専門スキルを生かしバックオフィス中心に活動することも可能です。
メンバーとしての参画に興味のある方は、以下よりお気軽にミーティングの見学をお申し込みくださいませ。