Living in Peaceマイクロファイナンスプロジェクト(以下、LIP-MF)では昨年から、カンボジアのマイクロファイナンス機関(以下、MFI)へ訪問させていただいています。
マイクロファイナンスを利用する現地の人々の状況を実際に見て調べたり、働くスタッフとの交流を通してマイクロファイナンス全般の理解を深めることを目的としています。
昨年5月にメンバー2人が渡航しましたが、この2月にはコロナ渦にLIP-MFに参画した若いメンバー2人が勉強しに再度カンボジアまで行ってきました!
そんな二人の簡単なカンボジア訪問記をお届けいたします。
※昨年の訪問記はこちら→☆☆☆
初めまして、LIPの的場です。
本業はフリーランスのソフトウェアエンジニアをしています。LIP-MFには約半年前に入会したばかりで、パートタイムで関われるNPOを探していたのをきっかけにLIPを知り入会しました。
現在はLIP-MFのファンド管理グループと全体のシステムグループに所属し、投資家向けレポートを作成したりシステムの運用などを行っています。
これからLIPで活動していくにあたり、実際にマイクロファイナンスを利用する顧客に会って話を聞いてみたいという思いと現地のマイクロファイナンス機関で働くスタッフがどのように働いているのかを知りたいと思い今回の視察に参加しました。
カンボジアの農業セクターが抱える課題
さて、今回カンボジアを訪問するにあたり事前に渡航メンバーとカンボジアの主要産業である農業セクターについて少し調べてみました。
昨年に続き訪問でお世話になるJC-Financeも農業で使う重機ローンなどがメインとなっており、貸出顧客の背景のことを理解しておく必要があったためです。
カンボジアにおいて農業・農村開発分野は国家政策の優先分野のひとつであり、カンボジア国の経済成長を促進し、食糧安全保障を確保して農村経済の発展と人々の生活水準の向上に大きく貢献してきました。
農業はGDPの22.8%(2020 年)を占めており、労働人口の35%を占める主要産業である一方で、貯水量の不足と水へのアクセス制限に起因した水不足に悩まされています。
しかしながら現在同国の耕地面積 450 万ヘクタールのうち灌漑設備でカバーされているのはわずか22%に過ぎず、そのほとんどが不十分な運用・保守が原因で農業生産性を制約しています。
せっかくマイクロファイナンスによる支援を受けて農業で生計を立てようとしても、このような環境課題などに直面している様子が容易に推測できます。
マイクロファイナンスを利用している現地の方にインタビュー
カンボジアに到着し、ホテルに荷物をおいたら早速フィールドへでかけました。メンバーと合流し、プノンペンから車で2時間ほど運転して農村部へ。
貸し出しを受けている顧客の現状やニーズをインタビューしました。町並みはプノンペンと農村部では全く違い、プノンペンはビルの開発が活発に進む一方で農村部では牛や犬が沢山いました。
顧客の現状は「今はうまくいっているが稼ぎ頭が病気になった時の備えがない」、「今も親の援助を受けながらなんとか返済している」など財務状況も様々でした。
右奥の女性が顧客。中央がJC Financeメンバー
前日よりも顧客インタビュー慣れしてもらうために多くのメンバーが同行。
顧客は農業用品の小売店も経営しており写真の奥がそのお店
今回は3名の顧客にインタビューをさせていただきました。
共通点は複数の事業をしている人が多かったことです。農業をメインにしつつもそこから派生したトラクターのレンタルや肥料の小売りなどを行って収入を安定させている印象でした。
(インタビューにご協力いただきありがとうございました!)
現地MFIスタッフとの交流
顧客インタビューの後は昨年も幣団体メンバーが視察時にお世話になったJC Financeを再訪しました。
私はカンボジアに来ること自体が初めてなのですが、飲食店やホテル含めフレンドリーな人が多かったと感じました。
JC Financeのメンバーも同様で、一緒にレストランに行っても食事のことを教えてくれたり、インタビューに向かう運転中もカンボジアの都市部や農村部にはどんなものがあるか等色々話してくれました。
またJC Financeの日本人マネージャーである河合さんが完全に現地に溶け込んでいて、クメール語でメンバーと冗談を言っていたりとメンバーともすごく近い距離で仕事ができているのには驚きました。
(懇親会を開いていただきました)
今回はカンボジアのMFIの皆様の財務スキルのヒアリングと事業開発ワークショップに参加させていただきました。事業開発ワークショップでは3~4人のグループに分かれて、インタビュー結果を元に顧客が抱えるイシューについて議論をしました。
イシューを掘り下げるという経験がまだ少ないようで、その部分の舵取りを経験のあるLIPメンバーがサポートする場面もありました。
全員相手の話を聞きつつも活発に意見を言える人たちばかりだったのでグループワークはとてもスムーズに進み、私たちもカンボジアのマイクロファイナンスが抱える課題を知ることができて大変有意義な時間となりました。
初めてのカンボジアMFI視察を終えて~
実際のマイクロファイナンス利用者の声を聴けて、またどのような場所でどのような事業をやっているのか話を聞けたのが自分の中では特に大きかったです。今後のサポートの形も決めてこれたので、これからはより一層主体的に参加していきたいと思います。
(お世話になりました!)
次回は、もう1名の渡航メンバー 原からの訪問記をお届け予定です。
※Living in Peace マイクロファイナンスプロジェクトでは、金融アクセスの向上を通じた機会の平等と貧困削減に取り組んでおります。(マイクロファイナンスPJ概要はこちら)